2021年9月から、会員+αの皆様によるコラムを隔月で掲載することにしました。

 初回は専務理事の相川康子が「防災月間に寄せて」のテーマで書いたものを掲載します。NPO政策研究所としても、地区防災計画の策定支援などに積極的にかかわっていきたいと思っています。

 

防災月間に寄せて

                                                                        2021年9月1日記

相川康子(NPO政策研究所 専務理事)

 

 

 新型コロナウィルスの感染拡大による医療逼迫や気温35度超の猛暑も“災害級”だそうだが、ここ100年で最大の災害といえば1923年9月1日に起きた関東大震災だろう。死者・行方不明者合わせて10万5千人余で、10年前の東日本大震災の約5.7倍にあたる。9月1日を「防災の日」、9月を「防災月間」と定めたゆえんである。死者の多くが地震後の大規模火災による焼死だったため、その後の日本では住宅不燃化や延焼を防ぐ都市計画事業が進められ、一定の成果を上げてきた。

 

 いま、多くの人が恐れるのは風水害だろう。お盆の数日間、九州や中国地方で平年の8月降雨量の2倍以上の雨が降り、居座り続ける線状降水帯の画像に、被災地のみならず全国でため息をついた人が多かったのではないか。同月公表されたIPCCの第6次報告書では「人類が地球の気候を温暖化させた」と断言しており、温暖化防止の取り組みが重要なのは言うまでもないが、まずは既に起きている異常気象とそれらがもたらす各種災害(風水害だけでなく熱波等も)に対する被害軽減策が急がれる。

 

 とりわけ災害関連死を防ぐことは最重要課題だ。防げる死であるにもかかわらず、2018年の熊本地震では、直接死の4倍以上の関連死が発生している。当日の避難支援にばかり重きが置かれ、その後の被災生活への支援が薄い災害対策を改める必要がある。

意外なことに、新型コロナウィルス対策は、そのきっかけになりうるかもしれない。従来、在宅被災者ら指定避難所以外の場所で過ごす人の存在はあまり意識されず、生活支援はおろか安否確認の方法さえ確立していない自治体が多かった。ライフラインの復旧も遅れがちな中での片づけ作業等で、心身に変調をきたし、医療や福祉的ケアが必要なケースもあったが、そのニーズは「取り残される人を出さない」という意思を持って地域を巡回しない限りは汲み取るのが難しかった。

 

 ところが、昨年来、コロナ対策で指定避難所の収容人数が制限され、自宅での垂直避難や知人宅、旅館・ホテル、短期間の車中泊など“多様な避難”が推奨されるようになって、在宅避難等にも光が当たり始めた。コロナのステイホームで明らかになった課題や孤立を軽減する工夫は、在宅被災者らの支援に通じることが多い。

 

 多様な避難生活を支え、取り残されがちな人を早期に見つけて関連死を防ぐには、地域住民主体で「地区防災計画」を検討するのが良いだろう。NPO政策研として支援スキルを磨いていきたい。